住宅の間取りを考えていくなかで、水回り設備があるサニタリースペースの配置は重要です。今回は、サニタリースペースのおすすめの間取りについてを書いていきます。
サニタリースペースの基本を理解する
サニタリースペースとは?その役割と概要
サニタリースペースとは、洗面台、トイレ、浴室などの衛生的な生活を維持するためのスペースを指します。この場所は、手洗いや歯磨き、洗濯、脱衣といった多岐にわたる用途に対応しており、日常生活には欠かせない空間です。また、「サニタリー」という言葉は、英語の「sanitary」(衛生的な)に由来しており、このスペースが清潔さを追求した役割を持つことを示しています。
サニタリースペースは、日本ではトイレ・浴室・洗面室を別々に配置することが多いですが、欧米ではトイレ・浴室・洗面室をセットにして配置することが多いようです。

サニタリースペースに置いている消耗品や小物などもサニタリーと呼ばれることがあるみたい。
サニタリールームと他の生活空間との違い
サニタリールームと他の生活空間との大きな違いは、その主な用途が「衛生維持」に特化している点です。サニタリールームは手洗いや排水、防湿・防水といった衛生面への配慮が非常に重要なため、設備がそれに適応するよう設計されています。一方、リビングや寝室など他の空間は居心地や利便性が中心となります。また、サニタリールームは基本的に狭いスペースで、効率的な動線設計や収納が求められる点も特徴です。
サニタリースペースに含まれる主要な設備
サニタリースペースには、一般的に洗面台、トイレ、浴室、そして脱衣所が含まれます。また、洗濯機や乾燥機などの洗濯設備もその一部と考えられることがあります。これらの設備は、いずれも排水設備や湿気への対策が施されており、清潔を保つとともに、使いやすさを考慮して配置されています。小物としてはタオル、石鹸類、歯ブラシなども含まれ、収納場所としての役割も重要なポイントです。
日常生活におけるサニタリースペースの重要性
サニタリースペースは、毎日使用する機会が多く、生活の質を直接的に左右する重要な場所です。朝の準備や夜のリラックスタイム、さらに来客時の使用など、家庭内外問わず大切な役割を果たします。特に、整理整頓された空間であることは、清潔感だけでなく使用時のストレス軽減にもつながります。日常生活を快適にするためには、使い勝手の良いサニタリースペースの整備が欠かせません。
快適なサニタリー環境を作るための基本設計
設計時に考えるべき動線とスペースの活用法
サニタリースペースの設計時には、動線とスペースの活用が非常に重要です。この空間は洗面、トイレ、浴室といった複合的な役割を持つため、使う人が無駄なくスムーズに移動できる動線設計が求められます。例えば、洗面台とトイレを隣接する位置に配置することで、朝の準備時間を効率化することができます。また、限られたスペースを最大限に使うために、デッドスペースを活かした収納棚や、壁掛け式の収納アイテムを導入することで、収納力を向上させることができます。
収納スペースの確保と整理のポイント
サニタリースペースは日常的に使うアイテムが多いため、収納スペースの確保が重要です。タオルや洗剤、トイレットペーパーなどを収納する際には、それぞれの使用頻度に応じて取り出しやすい位置に配置するのがポイントです。オープンな収納ラックを活用することで視覚的に必要なものをすぐに把握できるほか、引き出し式の収納ボックスを使用することで小物類の整理整頓が簡単になります。また、収納スペースをすっきり見せるためには、同系色のアイテムやラベルを統一してデザインに一体感を持たせると効果的です。
湿気・カビを防ぐための空間設計
サニタリースペースを清潔に保つためには、湿気やカビの対策が欠かせません。換気は設計時の最優先事項であり、自然換気と換気扇を併用して空気の流れを確保することが非常に効果的です。また、浴室や洗面台周辺の壁材や床材は、防水性・防湿性の高い素材を選ぶことが重要です。施工段階での適切な防水処理に加え、水滴を拭き取りやすいデザインの設備を採用することで、日々のメンテナンスも楽になります。さらに、湿気がこもりやすい場所には除湿剤や乾燥機能付きのアイテムを置くと効果的です。
サニタリースペースにおける素材選びのポイント
サニタリースペースでは、選ぶ素材によって生活の快適度が大きく変わります。床材には防水性と耐久性の高いクッションフロアやタイルを選ぶと水回りに最適です。また、壁材には汚れが付きにくく掃除が簡単なパネルや防水壁紙が推奨されます。洗面台や収納棚の素材についても、耐水性に優れたものを選ぶことで、湿気による劣化を防ぐことができます。さらに、おしゃれな空間を演出するために、木目調やモノトーンなどデザイン性と機能性を兼ね備えた素材を取り入れると、見た目にも美しいサニタリースペースが実現します。
日常で快適に使用するための工夫
実例に学ぶ、効果的なレイアウトのアイデア
日常的に使用するサニタリースペースは、レイアウトによってその使い勝手が大きく変わります。例えば、洗面台を中心に左右に収納スペースを配置することで、身だしなみを整える動作がスムーズになります。また、トイレと洗面台を分けて配置することで来客も気軽に使える設計が可能です。近年人気の間取り例としては、洗濯機を洗面所の近くに配置し、洗濯から干す、収納するまでを一連の流れで完結させる動線が挙げられます。限られたスペースを活用して効率的にレイアウトを組むことが快適なサニタリースペースを実現する鍵となります。
使いやすい収納アイデアと実践例
収納が充実しているサニタリースペースは、日々の生活のストレスを軽減します。たとえば、洗剤や掃除用具、タオルなどをおしゃれなバスケットや引き出しに整理すると、見た目もすっきりし、使いやすさが向上します。また、デッドスペースを活用した縦型収納や、洗面台の下部分のスペースを棚として活用するアイデアもおすすめです。さらに、頻繁に使用するアイテムは取り出しやすい場所に、季節物やストック品は高い位置や奥に収納するよう整理することで、必要なときにすぐ取り出せる効率的な収納が可能です。狭いサニタリースペースも、このような工夫で快適さが向上します。
常に清潔を保つための掃除とメンテナンス法
サニタリースペースは、湿気が溜まりやすい特性があるため、適切な掃除とメンテナンスが不可欠です。毎日使用する場所だからこそ、簡単な掃除を習慣化することで清潔さを保つことができます。例えば、洗面台の水滴や石けんカスはその日のうちに拭き取ることを心がけましょう。また、定期的に排水口の掃除を行い、臭いや詰まりを防ぐことも大切です。さらに、防カビスプレーを使うことで湿気によるカビの発生を抑えることができます。清掃用具自体もサニタリースペースの中で整理して置いておくと、いざというとき素早く対応できる便利さがあります。
家族全員が快適に使える環境の整え方
家族全員が使いやすいサニタリースペースを作るには、人数や利用シーンを考慮した環境の工夫が重要です。たとえば、子どもが使用する際は、手が届く位置にタオル掛けや洗面台のステップを設置することで、自立を促すことができます。また、家族各々のアイテムを分けて収納することで、誰のものがどこにあるのかが明確になり、使い勝手が向上します。さらに、朝の混雑を避けるために洗面台を広めに確保したり、二つ設置する場合も有効な手段です。それぞれの家族の生活スタイルに合わせ、利便性と個人のスペースを両立させることが快適さのポイントとなります。
リビングを通らずにサニタリースペースに行ける間取り
外から帰ってきてすぐに手洗いをしたりお風呂に入りたい場合に、リビングを通ってサニタリースペースに行く間取りでは動線が長くなってしまいます。さらに外でついた汚れや花粉などをリビングに持ってきてしまうことになります。
ですから玄関からの動線面や汚れ面などを気にされる方にとっては、リビングを通らずに廊下や玄関ホールからサニタリースペースに行ける間取りがおすすめです。ただ玄関ホール近くにサニタリースペースを配置する場合には、来客者の視線も考えておかなければなりません。
玄関ホール近くにサニタリースペースがあると、来客者がいるときにトイレやお風呂に行きにくくなる可能性があります。その為、サニタリースペースを玄関ホール近くに配置する場合には、来客者の目線に立って「どのように見えるか」という玄関からの見え方にも気にしておく必要があります。
リビング・洗面室・キッチン・ユーティリティルームなどの各部屋を繋げて一周できる間取り
洗面室・キッチン・ユーティリティルームなどの各部屋が一周できる間取りであれば、動線も短くスムーズに動きやすくなります。その為、料理をしながら洗濯など、家事仕事がおこないやすくなります。
家事仕事の効率が上がれば、時間が短縮できますし負担を減らすこともできるのでおすすめです。
寝室の横にサニタリースペースを配置する間取り
寝室から廊下を通さずに直接トイレや浴室などのサニタリースペースに行ける間取りであれば、寝室にいるときに限ってはトイレやお風呂への動線が非常に短くすぐに行くことができます。
また寝室の横にサニタリースペースを配置することで、ホテルの部屋のような雰囲気を味わうことができるのでおすすめです。
おしゃれで機能的なデザインアイデア
照明とカラーリングで演出する心地よい空間
サニタリースペースの雰囲気を変えるには、照明とカラーリングがポイントとなります。柔らかい間接照明や自然光を活かすレイアウトを取り入れることで、リラックスできる空間が作れます。また、壁や床のカラーリングには、明るめの色を取り入れることで清潔感を演出しやすくなります。例えば、ホワイトや淡いパステルカラーは視覚的な広がりを感じさせ、狭いスペースでも開放感を持たせる重要な役割を果たします。一方で、アクセントとして黒やネイビーなどの濃い色を一部に取り入れると、空間にメリハリが生まれスタイリッシュな印象を与えます。
植物や小物を使ったインテリアの工夫
サニタリースペースに観葉植物やおしゃれな小物を取り入れることで、ただ機能的なだけでなく個性が際立つ心地よい空間に仕上がります。例えば、小ぶりな観葉植物を洗面台や棚の上に置くと、自然の温かみが感じられ、リラックス効果が期待できます。防湿性の高い多肉植物やエアプランツなどは特にサニタリールームに適しています。また、収納ボックスやタオル掛け、石鹸ディスペンサーなどの小物を色やデザインで統一すると、空間全体に統一感が生まれます。これらの工夫で、見た目にも楽しく、実用性にも優れたインテリアを実現できます。
ミニマルで実用的なサニタリースペースの実現
限られたサニタリースペースを最大限活用するには、ミニマルなデザインが有効です。必要なアイテムを厳選し、無駄な装飾を省くことで、清潔感を際立たせると同時に機能性を高められます。例えば、壁付け収納やコンパクトな設備を活用することで、狭いスペースでも十分に余裕を持てます。また、洗剤や化粧品などの消耗品は目に見えないようボックスに収納することで、生活感を減らし、より洗練された空間に仕上げることが可能です。このミニマルデザインは、見た目の美しさだけでなく掃除や管理のしやすさにも貢献します。
必要な設備をスタイリッシュに配置するためのポイント
サニタリースペースの設備をスタイリッシュに配置するには、デザイン性と機能性を両立させることが大切です。例えば、洗面台やトイレ、収納棚などの配置は、使用頻度や動線を考慮して計画的に配置しましょう。洗面台と収納を一体化させた設備や、壁面スペースを活用した棚は省スペースながら効率的です。また、鏡や照明器具をおしゃれなデザインのものに変更するだけで、空間全体の印象がぐっとモダンになります。さらに、小物や洗剤のボトルを統一感のあるデザインで揃えることで、よりスタイリッシュでまとまりのある空間を実現できます。
最後に
サニタリースペースをどこに配置するかを考えるとき重要なことはまず、動線です。特にトイレや洗面室には1日のうちに何度も行く部屋になりますので、動線は重要となってきます。
普段よくいる場所はリビングや寝室であることが多いので、サニタリースペースはリビングや寝室からの動線が短いほうが良いのですが、リビングにサニタリースペースを配置すると外から帰ってきたときには動線が長くなりデメリットとなります。
そしてサニタリースペースを配置する間取りでもうひとつ重要なことは、プライバシー面です。トイレや洗面室、浴室には来客者に見られたくないものが多くあります。またトイレや浴室から出てきたときに来客者と遭遇したくはないものです。
このようにプライバシー面を気にされる方にとっては、サニタリースペースの間取りを考えるうえでは動線の良さだけでなく見えない工夫も必要になってきます。
ユーティリティルームについては、よろしければこちらの記事をご参考ください。

ユーティリティルームの使用目的や間取りは?洗濯物を干したい!
注文住宅を購入するメリットの一つとして、間取りを自由に考えられることがあげられます。