建ぺい率や容積率の計算式や緩和条件は?

法律

家を建てるための土地を探しているときに、気にしておくべきことはたくさんあります。

その中の一つに建ぺい率容積率があります。これらの割合によって、建てる家の大きさ(広さ)が制限されます。

建ぺい率と容積率は物件の情報欄にも掲載されています。

今回は、建ぺい率と容積率の計算式や緩和条件などについてを書いていきます。

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建ぺい率とは

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことをいいます。この場合の建築面積とは、水平投影面積の最大のものになります。つまり真上から見た場合の、土地の面積に対する家の面積の割合です。

たいていの家は一階部分の面積が最大になるので、家の面積は一階部分の面積だと考えていいと思います。
ただ、もし二階から上階の部分が一階部分より面積が広くなるようならば、その上階の部分の面積になります。

用途地域別の建ぺい率

建ぺい率の最高限度は、用途地域によって異なります。

用途地域についてはこちらの記事をご参考に。

都市計画税の軽減措置は?市街化区域、用途地域とは?
家を買えば様々な税金がかかってきますが、今回は都市計画税についてを書いていきます。 固定資産税は聞いたことがあっても、都市計画税は聞いたことがないという方も多いと思います。

第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、工業専用地域

建ぺい率:30%~60%

第一種・第二種住居地域、準住居地域、準工業地域

建ぺい率:50%、60%、80%

近隣商業地域

建ぺい率:60%、80%

商業地域

建ぺい率:80%

工業地域

建ぺい率:50%、60%

上記のそれぞれの建ぺい率のうち、都道府県や市町村による都市計画で定める割合になります。

建ぺい率の計算式

建ぺい率=建物の建築面積÷敷地面積

建ぺい率の計算式は、上記で表されます。

たとえば、建ぺい率が70%で敷地面積が200㎡であった場合、建物の建築面積は140㎡までとなります。

計算式に当てはめると、下記になります。

70%=140㎡÷200㎡

敷地が建ぺい率の異なる二つ以上の地域をまたいでいる場合の計算

この場合には、加重平均して建ぺい率を出します。(加重平均とはそれぞれの違いを考慮して平均値を出すことです)

A地域の建ぺい率×A地域の敷地面積/A地域の敷地面積+B地域の敷地面積

B地域の建ぺい率×B地域の敷地面積/A地域の敷地面積+B地域の敷地面積

たとえば、

『総敷地面積が500㎡で建ぺい率70%の地域に200㎡の敷地 と 建ぺい率50%の地域に300㎡の敷地』

にまたいであるとします。

これを計算式に当てはめると

70%×200㎡/200㎡+300㎡

50%×300㎡/200㎡+300㎡

これを計算すると、58%となります。

建ぺい率の緩和条件

建ぺい率は、ある条件を満たしていると緩和されることがあります。

建ぺい率の最高限度が80%となっている地域以外で、さらに防火地域内であり耐火建築物を建てる場合

建ぺい率の最高限度が10%緩和されます。

角地または特定行政庁が指定する敷地内にある建築物の場合

建ぺい率の最高限度が10%緩和されます。

※上記二つの条件を満たす場合は、
建ぺい率の最高限度が20%緩和されます。

たとえば、建ぺい率の最高限度が50%で敷地面積が200㎡の場合

50%=建築面積÷200㎡

建築面積は100㎡までとなりますが、防火地域内で耐火建築物を建てる場合は10%緩和されるので60%になり

60%=建築面積÷200㎡

建築面積が120㎡までとなります。

建ぺい率が制限を受けない条件

建ぺい率は、制限を受けない場合もあります。

建ぺい率の最高限度が80%の地域であり、さらに防火地域内で耐火建築物を建てる場合

・公園、道路、河川などの中にある建物で安全・防火・衛生上問題がないもの

・派出所や公衆便所、公共用歩廊など

容積率とは

容積率とは、「敷地面積に対する、建物の延床面積の割合」のことをいいます。延床面積とは、各階の床面積の合計になります。

用途地域別の容積率

容積率の最高限度も建ぺい率同様に用途地域によって異なります。

■第一種・第二種低層住居専用地域

容積率は50%~200%

■第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域

容積率は100%~500%

■工業地域、工業専用地域

容積率は100%~400%

■商業地域

容積率は200%~1300%

上記の数値はそれぞれの容積率のうち、都市計画で定める割合になります。

容積率の計算式

容積率=建築延床面積÷敷地面積

で表されます。

たとえば、容積率が120%で敷地面積が200㎡であった場合、建築延床面積は240㎡までとなります。

計算式に当てはめると120%=240㎡÷200㎡になります。

敷地が容積率の異なる二つ以上の地域をまたいでいる場合の計算

容積率も、建ぺい率と同様に加重平均をして数値を出します。

敷地が容積率の異なる二つ以上の地域をまたいでいる場合の計算式は、

A地域の容積率×A地域の敷地面積/A地域の敷地面積+B地域の敷地面積

B地域の容積率×B地域の敷地面積/A地域の敷地面積+B地域の敷地面積

たとえば、総敷地面積が500㎡で、「容積率150%の地域に200㎡の敷地」と「容積率200%の地域に300㎡の敷地」にまたいであるとします。

計算式は、

150%×200㎡/200㎡+300㎡

200%×300㎡/200㎡+300㎡

を足した数値になります。

これを計算すると、180%と出てきます。

道路幅による容積率の制限

敷地の前面の道路幅が12m未満であれば、容積率が制限される場合があります。

前面の道路幅が12m未満の場合

前面道路が二つ以上ある場合は、道路の幅が最大のものが適用されます。

前面の道路幅に、住居系地域であれば4/10住居系以外の地域であれば6/10を乗じます。上記の数値と用途地域の容積率の最高限度を比べて、数値の少ないほうが容積率となります。

たとえば、前面の道路幅が10mであり、第一種低層住居専用地域内で敷地面積が200㎡、容積率が200%であったとします。

前面の道路幅による容積率の制限は

10m(道路幅)×4/10(住居系地域)=400%(容積率)

となりますので、第一種低層住居専用地域内で指定されていた容積率(200%)より多くなっていますので、使われる容積率は200%のほうになります。

もうひとつ例を出しますと、前面の道路幅が6mであり、工業地域内で敷地面積が200㎡、容積率が400%であったとします。

前面の道路幅による容積率の制限は

6m(道路幅)×6/10(住居系の地域以外)=360%(容積率)

となりますので、工業地域内で指定されていた容積率(400%)より少なくなっていますので、使われる容積率は360%のほうになります。

おわりに

建ぺい率や容積率は、不動産の方や設計士の方が説明をしてくれますので、必ずしも自分たちで計算をしなければいけないということではありません。

しかし、万が一ということもありますので理解をしておきたいところではあります。

あらかじめ不動産の方に、この土地であればどのくらいの広さまでの家を建てることができるのかを聞いておきたいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。