3階建て狭小住宅での老後生活は大丈夫?安心して暮らすための秘訣

土地

注文住宅を建てるには、先に住宅を建てる土地を探さなければなりません。ハウスメーカーから先に決めた場合、あらかじめ建築費用と土地購入費用を合わせた総予算を考えて設定しておき、そこから建築費用を差し引いて土地購入費用にいくら当てられるかを考えます。

当然都市部や立地が良い場所の土地を希望していれば、土地価格は高くなります。限られた予算の中で、都市部や立地の良い場所の土地を購入するには、狭小地の土地を購入するという方法もあります。

しかし狭小地は人によって好き嫌いがはっきりと別れるため、土地価格が安いからという理由だけで狭小地の土地を購入すると、あとで後悔してしまう可能性があります。

狭小地や狭小住宅は、郊外のほうではあまり見かけることはありませんが、都市部のほう(特に駅近)ではよく見かけますね。

 

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3階建て狭小住宅で老後を過ごす際の課題

階段の上り下りがもたらす身体的負担

3階建ての狭小住宅は、限られた土地でも居住空間を確保できるため人気が高いですが、その一方で「階段の上り下り」が老後の生活において大きな課題となります。特に高齢者になると筋力や体力が衰え、頻繁な昇降動作が困難になります。重い洗濯物や掃除道具を持って階段を登ることは、転倒などのリスクを伴うだけでなく、日々の負担の蓄積による関節痛や腰痛を引き起こす可能性もあります。この階段の問題は、老後の生活を考える際に真っ先に対処すべき課題の一つです。

生活動線の複雑さが引き起こすストレス

3階建て狭小住宅において、生活空間が各階に分散されることは一般的ですが、この間取りが老後の暮らしにおいてストレスの原因となることがあります。例えば、1階に玄関とリビング、2階に寝室、3階にバスルームが配置されているケースでは、1日の中で頻繁に階を行き来する必要があります。この生活動線の複雑さにより、疲労感を感じたり、効率的な家事が難しくなることが考えられます。また、老後の生活ではよりシンプルな動線が求められるため、現状の間取りが不便と感じることが増えるでしょう。

防犯面での不安と対策

老後は子供が独立し夫婦だけでの生活になるケースが多いため、防犯面の不安が増します。狭小住宅は隣家と近いことが多く、窓や扉が通行人の視界に入りやすい場合があります。特に高齢者だけの家庭では、外出中や夜間の防犯対策が重要です。最近では監視カメラやスマートロックなどの技術を取り入れることが増えていますが、防犯意識を高めた住まいの設計は欠かせません。また、人の住んでいない階が存在すると侵入者に狙われやすい点にも注意が必要です。

狭小住宅特有の収納スペース不足

狭小住宅では、限られたスペースの中で収納を確保することが課題です。特に老後は物が増えやすく、過去の思い出の品やまだ使える家具・家電などを処分できずに保管するケースが多く見られます。しかし、収納スペースの不足から、住空間が物で圧迫され、生活の快適性が損なわれることがあります。また十分な収納が確保されない場合、探し物に苦労したり、整理整頓が難しい状態が続くことでストレスもたまります。

断熱性や気密性に関する問題

狭小住宅は近隣との距離が近いため、断熱性や気密性が不十分だと、冬季は寒さ、夏季は暑さに悩まされやすくなります。また、3階建て住宅では各階ごとに温度差が生じやすく、高齢者にとっては「ヒートショック」につながるリスクが増加する懸念があります。特に老後の生活では、体温調節機能が低下するため、室温の安定が快適な暮らしには必要不可欠です。このような問題を軽減するためには、断熱材の追加や全館空調の導入などが検討されますが、費用面での負担も課題となる可能性があります。

快適な老後生活を実現するための設計や設備の工夫

上り下りを減らすための間取り変更

狭小住宅での老後生活では、階段の上り下りを減らす工夫が重要です。具体的には、生活の中心となるリビングや寝室、浴室などの機能を1階にまとめる間取り変更が効果的です。この方法により、身体的負担を軽減でき、日々の移動も楽になります。また、2階や3階の部屋は普段使わないスペースとして活用したり、物置やゲストルームとして利用することで、効率的な空間使いが可能となります。

バリアフリー設計を取り入れるポイント

老後も安心して暮らすためには、狭小住宅でもバリアフリー設計を取り入れることが重要です。階段には手すりを設置し、段差を低くした緩やかな勾配の階段を採用することで、移動時の安全性が向上します。また、玄関や浴室、トイレなどには段差をなくし、滑りにくい床材を選ぶと、転倒防止に効果的です。さらに、廊下や出入り口を広めに設計することで、将来的に車いすの利用にも対応できる住環境を整えられます。

エレベーターや昇降機の設置の検討

3階建ての狭小住宅では、エレベーターや昇降機の設置を検討することで老後の生活をより快適にすることができます。最近では、小規模住宅にも設置可能なコンパクトなホームエレベーターが登場しており、スペースの制約がある家屋でも導入可能です。初期費用やメンテナンス費用が発生しますが、階段の上り下りによる身体的な負担を大幅に軽減できるため、将来的な安心感を得ることができます。

収納スペースを効率的に活用する方法

狭小住宅では収納スペースが不足しがちですが、老後の暮らしを快適にするためには、限られたスペースを効率よく活用する工夫が欠かせません。例えば、階段下や壁面を有効活用した造り付け収納を導入したり、家具一体型の収納を採用することで、スペースを節約できます。また、定期的に使わない物を整理整頓し、無駄なものを減らすことで、収納不足の問題を解消しやすくなります。収納スペースをうまく工夫することで、スッキリした住環境が実現し、精神的な負担も軽減されます。

防犯・安全性を確保するための工夫

外部から見えにくい窓や扉の活用

狭小住宅では敷地が限られているため、隣家との距離が近くなり、外からの視線が気になることがあります。そのため、老後のプライバシーと防犯を考慮した工夫が重要です。外部から室内が見えにくい目隠し窓やすりガラスを取り入れると同時に、デザイン性の高い防犯格子の設置がおすすめです。また、窓には防犯フィルムを貼ることで、万が一の侵入にも備えることができます。扉に関しては、ピッキング対策された高性能の鍵やモニタ付きインターホンを採用することで、安心して暮らせる環境が整います。

防犯カメラやセンサーの導入方法

防犯カメラやセンサーの設置も、狭小住宅の防犯性を高める有効な手段です。最近の防犯カメラはコンパクトで、設置が容易なモデルも多く、初期費用が抑えられるものも増えています。玄関や勝手口などの主要な出入り口に設置することで、不審者の侵入を未然に防止できます。また、人感センサー付きの照明は、侵入者を威嚇する効果があり、同時にエネルギー効率が良いため経済的です。特に狭小住宅では各スペースの利用効率が重要であるため、目立たない場所に設置できる省スペース型の機器を選ぶと良いでしょう。

地域コミュニティとの連携を強化する重要性

狭小住宅で老後を安全に暮らすためには、地域コミュニティとの連携を強化することも欠かせません。近所との交流を深めることで、異変があった場合に気付きやすくなり、助け合いの精神が生まれます。例えば地域の防犯パトロールに参加したり、自治会や町内会の行事に積極的に顔を出したりすることで、自然な見守り体制が築けます。一人暮らしや高齢世帯では特に、こうした連携が孤立を防ぎ、安心感をもたらしますので、日常のコミュニケーションを大切にすることが重要です。

狭小住宅における緊急時の避難計画

狭小住宅で老後を送る際には、緊急時の避難計画を事前に考えておくことも大切です。特に3階建ての住宅では、避難ルートが限られることが多いため、地震や火災などの災害時に迅速に行動できる仕組みを整備しておく必要があります。例えば、各階に防災グッズや簡易消火器を設置しておくことで、緊急事態に備えることができます。また、2階や3階からの避難専用ロープや梯子を用意しておくと、非常時の安全性が向上します。さらに地域の防災訓練に参加し、近隣住民と協力して避難計画を共有することで、狭小住宅特有の課題を克服し、安心した老後生活を送ることが可能です。

狭小住宅で安心して暮らすための費用対効果と選択肢

リフォーム vs 引っ越し:どちらを選ぶべきか

狭小住宅で老後を快適に過ごすためには、「リフォーム」と「引っ越し」のいずれを選ぶべきか検討する必要があります。リフォームのメリットは、住み慣れた家で暮らし続けられる点です。特に階段の段差を解消したり、バリアフリー設計を加えたりすることで、老後の身体的負担を軽減できます。一方、引っ越しも効果的な選択肢です。特に階段の上り下りが難しくなる場合、平屋やマンションへの住み替えを検討することで、生活動線を大幅に改善できます。それぞれの選択肢には費用面の違いもあるため、自分たちのライフスタイルや予算に応じて判断することが重要です。

賃貸に出す選択肢と老後の住み替え方法

老後の暮らしを見据えて、現在の狭小住宅を賃貸に出すことも選択肢の一つです。都市部では狭小住宅への需要が高いため、安定した収益を得られる可能性があります。その収益を活用して、より適した住まいに住み替える資金とすることができます。例えば、外出や医療施設へのアクセスが優れたマンションや、バリアフリー設計が施されたコンパクトな住宅などが人気です。また、賃貸経営を行う場合には、管理会社のサポートを利用すると煩雑な手続きが軽減されます。

補助金や税制優遇制度を活用する

リフォームや住み替えにあたっては、国や自治体が提供する補助金や税制優遇制度を活用することが経済的に有利です。例えば、バリアフリー改修に関する補助金制度や、高齢者向けの住宅改修減税制度を調べて活用することで、負担を軽減できます。また、居住用住宅を買い替える際に適用可能な譲渡所得控除などの制度も検討材料となります。こうした制度を上手に利用することで、老後の住まいをより安心・快適に整えることが可能です。

ライフスタイルに合わせた資金計画の立て方

狭小住宅で安心して老後を過ごすためには、ライフスタイルに合わせた資金計画を立てることが不可欠です。例えば、夫婦だけの生活であれば、居住スペースを最適化し、光熱費や固定資産税の負担を抑える方法が考えられます。また、物の量を減らし、シンプルな暮らしを心掛けることで生活費を削減することも一つの方法です。さらに、収支計画を立て、老後に想定される医療費や日常生活費も計算に入れた上で、住宅にかけられる予算を明確化することが大切です。無理のない選択をすることで、経済的な安心感を得られるでしょう。

 

狭小住宅のメリットまとめ

狭小地に建てる住宅には、良い面と悪い面があります。狭小住宅の一般的な良い面としては土地が狭い分、土地の価格が安くなること。悪い面としては、土地が狭く住宅も狭くなってしまうこと。などがあげられますが、その他にもメリットやデメリットとなるものがあります。

土地の価格が安い

狭小地に住宅を建てる一番のメリットは、やはり土地の価格が安いところです。立地などの条件が同じであれば、当然広い土地よりも狭小地の土地のほうが価格は安くなります。土地の価格を安くおさえることができれば、建物のほうに予算を当てることもできます。

税金が安い

狭小地に住宅を建てれば、土地や住宅の面積が小さいため、それらにかかる税金が安くなるというメリットがあります。その税金とは、不動産取得税、固定資産税、都市計画税などです。

外構工事費用が安い

外構工事は土地が広いほど、フェンスや庭、アプローチなどをつくる面積も増えますので、費用が高くなります。狭小住宅では、外構工事が必要な箇所も少なくなるため、外構工事費用は安くなります。

都市部や立地が良い場所でも住みやすい

都市部や立地が良い場所では、土地の価格は高く設定されています。都市部の駅近に住宅を建てて住みたいと考えていても、土地の価格が高いので現実的にはなかなか住むことができません。そのようなときに狭小住宅であれば土地の価格が安くおさえられるので、都市部や立地の良い場所でも比較的住みやすくはなります。

ビルトインガレージをつくりやすい

狭小地に建てる住宅だからビルトインガレージをつくれるということでは決してありませんが、狭小地では三階建て住宅になる可能性が高く、敷地を有効に使うためにビルトインガレージをつくっている住宅も多いようです。

ビルトインガレージは、住宅の中にガレージがあるので防犯対策にもなりますし、雨風や車の日焼けも気にせずにすみます。また車が好きな方にとっては、住宅の中から間近で車を眺めていることができるのでメリットになります。

ビルトインガレージについては、こちらの記事をご参考ください。

ビルトインガレージで後悔しがちなデメリットとは?
狭小地に住宅を建てるときなどには駐車スペースの確保が難しいため、建物のなかに車庫をつくることがあります。

狭小住宅のデメリットまとめ

住宅が密接している

狭小地の住宅では、隣の住宅との間が非常に狭くなります。アパートのように壁一枚で隣の住宅と繋っているわけではありませんが、住宅と住宅との間隔が狭いと騒音などから近隣とトラブルになる可能性は高くなるのでデメリットといえます。また、住宅が隣と密接した地域では火事などの被害には注意が必要です。

動線が長くなる

狭小地では地下階や三階建ての住宅にすることが多いため、階段を使った移動が増えてしまいます。そのため、動線が長くなってしまうという欠点があります。トイレの場所によっては、毎回階段を使わないとトイレを利用できないなんてこともありえます。

窓の位置が限られる

狭小住宅では、隣の住宅と密接している可能性が高いため、密接している側に窓をつくるのは難しくなります。もし密接している側に窓をつくったとしても、プライバシーの問題や騒音トラブルになる可能性も高くなります。

また、例え密接している側に窓をつくったとしても、結局隣の住宅の壁で風通しや日当たりは良くないことが予想されます。このように、狭小住宅では窓の位置が限られるというデメリットがあります。

建築費用が高い

狭小地での建築は、トラックや重機の搬入が難しい可能性があり、余計な費用がかかってしまうことがあります。また、狭小地では前面道路が狭いことが予想され現場の方が乗ってくるトラックなどを停めておく駐車スペースがないため、これらの毎日の駐車料金が別でかかってしまうことがあります。そのため結果的に建築費用が高くなり、デメリットとなる可能性もあります。

庭がつくれない

狭小地に建てる住宅では、庭をつくるスペースがほとんどありません。庭つきのマイホームを持ちたい方にとってはデメリットになります。

狭小住宅のメリットデメリットまとめ

狭小住宅の良いところは、

土地の価格が安い

税金が安い

外構工事費用が安い

都市部や立地が良い場所でも住みやすい

ビルトインガレージをつくりやすい

反対に良くないところは、

住宅が密接している

動線が長くなる

窓の位置が限られる

建築費用が高い

庭がつくれない

などがあげられます。

狭小住宅は、都市部や立地の良い場所に住宅を建てたい方にとってはメリットとなりますが、郊外での住まいを考えている方にとってはデメリットのほうが多くなりそうです。