老後の暮らしで危険な4つの場所!手すりをつけるなら?

間取り

ブログで間取りの記事を書いていて気がついたのですが、私は結構老後の暮らしのことを考えてしまっていると。。。

もちろん家を建てる上で、老後の暮らしを想定しておくのは悪いことではないでしょうし、そういう考えの方もたくさんいらっしゃると思います。

家を買うのなら、一生その家で安全に住みたいですからね(′∀`)
そこで今回は福祉住環境コーディネーターとして、老後の暮らしための住宅づくりの参考になるようなことを書いていければと思います。
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老後の暮らしのための住宅づくりで特に危険な4つの場所

注文住宅では、手すりを設置する場所も決めることができます。

手すりの設置が無料であれば、つけたい場所全てにつけても良いかと思いますが、有料であれば節約のためにもどこに手すりをつけるか非常に迷います。

ハウスメーカーによっては、手すり設置の費用が2ヶ所までは無料などと数が決められている場合があります。

将来のことを考えると、手すりは多いほうが楽に生活できて良いのではないかと思いますが、手すりが多すぎても結局使わずに邪魔になってしまうこともあります。

今回は老後の住宅生活で特に危険な場所として、玄関付近・トイレ・浴室・階段について書いています。

玄関付近(道路から玄関までのアプローチ、玄関)

高齢になったときに、もし玄関付近が移動しにくい環境であれば、外出をしたいという気持ちや気力が減少してしまいます。

そうなってしまうと閉じこもりがちとなり、ますます足の筋力が弱くなってしまいます。

玄関のアプローチ部分に手すりは必須です。さらに、階段だけでなくスロープがあれば車椅子でも対応できます。スロープだとベビーカーも上がり下りしやすいですね(*^・ェ・)ノ

玄関の上がりかまちを土間の色と変えることで、視力が悪くなった時に足がひっかかったりつまづいたりする可能性を少なくできます。

上がりかまちのそばには縦手すりを設置し、手すりの下端を土間から75㎝~80㎝、上端は肩の高さ付近に合わせます(肩より少し高めでも使用しやすいと思います。)

上がりかまちの高さを18㎝以上に設定している場合は、式台を置く方法もあります。

玄関土間は、将来もし車椅子を使用することを想定しておくのでしたら、間口の広さは(有効寸法で)最低でも165㎝~210㎝、奥行きは120㎝は確保しておきたいところです。

玄関を安全に行き来できるかによって、外出頻度も変わってきます。家の中に閉じ籠らないためにも、手すりをつけて安全に移動しやすい環境をつくっておきたいところです。

トイレ

トイレは日常生活の中で、絶対に毎日何度も行き来する場所になりますので、便座の立ち座りが大変だとトイレに幾度にしんどくなるといったことにもなりえます。

もしトイレに一人で行けなくなれば日常生活レベルも、どんどんと低下していく可能性があります。

日常で最もくつろぐことが多い場所から近い位置にトイレを配置しておくのも、動線が短くなるので結構重要です。

トイレまでの動線距離はなるべく4mを超えないようにします。4mを超えるとお年寄りの方にとっては遠く感じられるようです。

トイレの扉は入りやすい引き戸か外開きの開き戸にします。内開きはかなり不便です。ドアノブはレバー型で握りやすいようにします。

手すりは、便座への立ち座り用や下衣上げ下げ用の縦手すりと、座っている時に持てる横手すりがあれば理想です。合わせてL字型にしてもいいと思います。

縦手すりの位置は便器先端から20㎝~30㎝前方に、手すり上端は肩の高さより10㎝程上、下端は便座より22㎝~25㎝程上にします。横手すりは便器の中心から35㎝の所に取り付け、高さは縦手すりの下端と合わせます。

トイレの入り口から便座までに横手すりなどあっても移動しやすく、良いと思います。

車椅子を想定する場合は、トイレの出入り口の広さを90㎝は確保しておきたいところです。車椅子の場合ですと、横手すりの高さをアームレスト(手を置くところ)に合わします。



浴室

浴室も、家の中の危険な場所のひとつです。浴室は床が滑りやすいだけでなく、裸であることから転倒するとまともに身体を打ち、怪我をしやすくなります。
浴室では、浴室内の移動、洗体時の立ち座り動作、浴槽の跨ぎ動作など小さい部屋の中での動作が多い場所なので老後の生活のために最も注意しておく箇所でもあります。

浴室と洗面所の段差は2㎝以下が理想です。車椅子の場合は5mm以下が良いとされています。

浴室の扉は引き戸にしたいところです。浴室の扉は水滴などが洗面所に落ちないように内開きが大半となっていますが、もし洗体時に倒れてしまった場合、家族が助けに行こうと思っても内開きだと扉が体に当たって開けないといったことになる可能性がありますの注意が必要です。

手すり位置は、浴室出入り用に縦手すり、洗い場の移動用に横手すり、低い椅子からの立ち座り用や浴槽跨ぎ用に縦手すり、浴槽内での立ち座り用にL字型または横手すりが一般的に必要になってくる箇所になります。

ただ新築で家を建てる際に、ここまで手すりを全て取り付ける必要性はあまりありませんが、その中でも浴槽跨ぎ用と浴槽からの立ち座り用の手すりは、最も使用する頻度が高くなると思いますので設置しておきたいところです。

浴室の手すりについてはこちらの記事にも少し書いていますのでご参考ください。
洗面所や浴室の間取りで後悔したくない!浴槽で足を伸ばすには一坪(二畳)必要?
注文住宅を建てる上で水まわりの間取りはあまり気にしないことも多いですが、こちらもあとあと「後悔してる」ということにならないように当然こだわるべき箇所でもあります。

階段

階段は家の中で、最も危険な場所の中のひとつです。転倒すれば大事故に繋がりかねません。

元気な人であれば手すりを使わずに階段を上り下りできますが、高齢になり下肢の筋力が衰えてくると手すり無しでは階段を上り下りできなくなる可能性があります。

階段は上がる時のほうが疲労が強くなりますが、お年寄りにとっては下りる時のほうが膝折れが起こったりと難しくなるケースもあります。

そのため手すりは、下りる時に利き手側が掴めるように設置したほうがいい場合もあります。

 

転倒をしたときに最も危険な階段は?、こちらの記事をご参考ください。

二階でトイレと寝室の間に階段があると、夜間などあやまって転落する危険もありますので注意が必要です。手すりの高さは、床面から75㎝~80㎝を保持しながら階段の傾斜に合わせて設置します。

段差部分での踏み外しやつまづきを少なくするために、踏面と蹴込み板の色を変えておく、照明を足元までしっかり照らしてくれる明るいものにする、足元灯をつけておくといったことも重要です。

階段を上り下りできなくなれば、次第に2階に行くことがなくなり、1階での生活のみとなってしまいます。寝室や洗濯物を干す場所などを一階に配置しておき、二階に行かなくても生活が出来るように工夫しておくのも老後の暮らしにおいては重要になってきます。

老後の暮らしに必要な手すりの種類

手すりに掴まるお年寄りのイラスト

手すりには種類があり、設置する場所によって使い分ける必要があります。

 

ハンドレールとは

ハンドレールとは、手で掴み(滑らせ)ながら移動する際に使用する手すりです。直径は3.2㎝~3.6㎝程が理想です。

主に玄関までのアプローチや廊下、階段などの移動する箇所で使用するタイプの手すりになります。

 

グラフバーとは

グラフバーとは、手でしっかりと掴んで身体を持ち上げる際(立ち座り時)に使用する手すりです。

直径はハンドレールより少し小さく、手でしっかりと掴めるように2.8㎝~3.2㎝程が理想です。

主に玄関の上がりかまち、トイレ、浴室などの身体の持ち上げや立ち座りを行う箇所で使用するタイプの手すりになります。

 

おわりに

やはり新築で家を建てる際に上記の全てを行う必要はありませんが、予算の余裕があれば部分的にでも老後の暮らしを考えて住宅づくりをしておくのも大切なことだと思います。

これは注文住宅だからこそ出来る点でもありますし。身体が不自由になってから色々住宅改修を行うと余計なお金もいりますし。手すりをつけたいところが壁が薄く大がかりな工事になってしまったり。車椅子が通りやすい間口に広げたりと。

住宅の老朽によるリフォームと同時に改修を行うのであればまだいいのですが、身体が不自由になる時と住宅のリフォーム時期が同時期になるとは限らないですし。

ちなみに私も実現できたのは一部分のみです。手すりも玄関上がりかまち・浴槽に一つ・階段に取り付けるようにしたくらいです。

それは予算の関係上でもありますし、あと手すりが多いと見映えが悪くなり、一気に印象が変わりそうで。。。

そして元気な時はかえって邪魔になったりします。老後の暮らしための住宅づくりは考え方によったら保険のようなもので、実際に自分が不自由な身体になってから「ここに手すりをつけておいて良かった」などと感じることができますが、ずっと元気な身体であればその手すりが邪魔に思えたりします。

保険も、事故や病気をしてから「この保険入っておいて良かった」などと感じることができますが、ずっと事故や病気にならなければ無駄なお金を毎月払っていたと思ってしまいます。

そういう点も踏まえて老後の暮らしための住宅づくりを考えていきたいですね。でわ(^^)/